参政党にとって、実際には一番の武器である一方、現状ではむしろアキレス腱のような存在ともなっている「松田プラン」。
アンチ勢力にとっては非常に攻撃しやすい対象である事が一番の要因ではありますが、それだけではなく、松田プランに対する参政党、特に松田さんご本人の返答の仕方にも大きな問題があります。
今回は、松田プランが信頼されない「まとも」な理由について考えてみます。
松田プランはノーリスク?
そもそも松田プランとは何かですが、これに関しても非常に問題なのは、様々な話題がごっちゃになって「松田プラン」として語られているという事があります。
松田プランの第一段階は、日銀が持っている日本国債に対して、政府が通貨発行権を使って新しい通貨(仮にデジタル円とする)を発行し、そのデジタル円で日銀へ日本国債の返済を行うことにより、政府の負債とされている国債の残高を減らしていく事が出来るという主張です。
その日銀が手にしたデジタル円を日銀が市中銀行などに貸して、そして市中でデジタル円が流通して・・・となれば、お金の流れを生み経済が回っていくという所までが、松田プランの第一段階という感じです。
簡単に言えば、国の借金(国債)を国が新たな通貨としてデジタル円なるものを作ってそれで返済に充てられるなら、国債の額などは何の問題にもならなくなるという話です。
・・・とここまで聞いてピンときた方がどれぐらい居るかは非常に疑問なのですが・・・まぁ何となくそんな感じで捉えておいてください。
問題はこの後、松田プランの二段階目といった感じですが、ここでブロックチェーンを活用した便利なお金の活用法という話になります。
お金の流れがブロックチェーンを使って一目瞭然となるので、税の支払いなども全自動で行われて便利・・・といったような話です。
この二段階目のところで、「それってデジタル管理社会に繋がるんじゃないの?」という懸念が生じるわけです。
実際問題、松田さんの話を要約すると、「中国が使えばデジタル監視社会になるが、日本ならそうならない」だとか「日本政府には国民を監視する能力がないから大丈夫」といったような、非常に曖昧な話に終始しています。
松田さんはデジタル監視社会というようなものを心配する人達に対して「大丈夫、安全、安心です」といったことしか言いません。
まるで松田プランの後段で語られるような仕組みに、データの盗み見や改ざん、盗用、悪用といったリスクが全くない、ノーリスク状態であるかのような話しぶりをされています。
松田プラン=デジタル監視社会という風評への正しい対処法
松田プランについて、デジタル監視社会を実現しようとしているのではないかと言う懸念が多く聞かれますし、そこを突いて攻撃をしてくるアンチ勢力も多い現状があります。
この点について松田さんの説明では、「違います、大丈夫です、安全です、安心です、凄く便利なんです」というような、「良い話」しかしないのが問題です。
デジタル社会とか電子社会とか量子社会とか、言い方は様々ですが、そのリスクというのは当たり前に存在します。
簡単な例で言えば、松田さんが主張しているスマホによる本人認証についても、スマホが盗まれた場合に困るという弊害があるでしょう。
またスマホといえばアンドロイドかiOS、つまりグーグルかアップルに牛耳られている世界なのですから、それをもってして「絶対安全」となぜ言えるのでしょう。
自分はリスクを承知でデジタル政策を強力に推し進める事に大賛成です。
そう、あくまでも「リスクを承知で」言っているんです。
松田さんのお話を聞いていると、まるでリスクの話をすると「国民は耳を塞いで聞かなくなってしまう=リスクの事は極力触れないようにしよう」というような、国民を馬鹿にした態度が透けて見えます。
そのような態度では、有権者の信頼を得られないのも無理からぬ事でしょう。
リスクが厳然と存在しているのに、「安全、安心」を連呼しているようでは、完全に原発と同じです。
実際に事故が起こった時に頭を下げてごめんなさいすれば良いとでも思っているのでしょうか。
松田プランを始めとしたデジタル政策の重要な点は、そこに付きまとうリスクについて真摯に国民へ説明し、国民全体の合意のもとでリスクを許容した上で推進していきましょう、という点を訴える事が何よりも大切です。
話の筋としては、以下の点を重要視した方が良いでしょう。
- 日本がデジタル政策を推進しないと、外国勢力(とくに中国)に日本のデジタル基盤が牛耳られる事になる
- 日本のデジタルインフラを守るためには先手先手で動かなければいけない
- 外国へ日本の情報が筒抜けにならないように、国産のデジタル基盤で日本国民の情報を守る必要がある
- デジタル政策の過程では一定のリスクは存在する
- リスクを許容した上でデジタル政策を推進しなければ日本の未来は暗い
- 松田プランは国家の安全保障の中核を担う政策である
こういった筋で、「リスクはありますが、日本がやらなければそれ以上の悲惨な状況が待っているので、リスクをある程度許容しながらデジタル政策を促進する必要がある」という点をしっかりと主張するべきでしょう。
その上で、日本のマイナンバー制度はこんなに安全だ、というような主張をなさるのなら、それはそれで結構な事と思います。
せっかく素晴らしいプランなのに、リスクの事をひた隠ししているように見える事で、むしろ攻撃しやすくなってしまっている松田プラン。
ぜひとも早急にその姿勢をあらためて、「リスクはあるけど必要なんです」という主張に切り替えて頂きたいですね。